景色を楽しみ、自然を発見する

 あなたは、山中湖村のどこから見た富士山の景色が一番好きですか? 十人十色、生まれが違えば大好きな富士山の形もさまざまです。山梨県側と静岡県側の人とでは好みは大きく異なっていますし、同じ側でも住んでいる市町村が違えば、主張はさまざまです。宝永山が見えないとダメだとか、見えてちゃダメだとか、山頂は平らでなくちゃ、いや剣ヶ峰が見えて尖ってなきゃ富士山じゃないとか。私の方も、いつも話を吹っ掛けては皆の激論を楽しんでいます。山中湖村の住民に聞いてみても面白いかもしれませんね。「湖のどこそこから見た富士山が最高だよ!」これまた人によって全然違うのかもしれません。山中湖村から見た富士山の景色として私の大好きなものの一つは、三国峠へ向かう途中のパノラマ台からの景色です。湖を囲む三国山や石割山から大平山への穏やかな山容と湖をはさんで対峙する富士山。さらに湖を越えてはるか南アルプスまで視線が飛んでゆく伸びやかさ。富士山が自分だけを主張せず、景色の中で美しいバランスを保っています。この景色も季節や天候が変われば色彩もコントラストも風の動きも変わります。冬の雨の日は、灰色の世界の中で、雲の流れが峠の風の激しい動きを見せてくれます。夏は湖の群青と森の緑の世界へと変貌します。
 パノラマ台から降りて山中湖の北岸を通ってみることにしましょう。この辺りから眺める富士山は“肘掛け椅子に座っている”様にも見えます。道沿いにケヤキの大木が並ぶ様も雄大な景色の演出に一役買っています。
 さらに湖を西に向かい、やがて湖を離れ、花の都公園へと来ます。ここの景色には湖が入ってこない。平らな土地が山〈大平山?長池山〉と山〈杓子山・鹿留山〉と森に囲まれています。そしてその森の上に富士山がそびえています。ここからの富士山はいつも「私を見て。」と強く主張しているように感じます。その森、ハリモミ純林は富士山自身が流した溶岩の上に成立した岩上の森です。そう、今立っているこの足元はまさに富士山という火山なのです。火山を足で実感してみることにしましょう。忍野村に抜ける舗装道路の西側、民家の脇をハリモミ純林へと入っていきます(この森は、山中湖村が保護と管理を行っていますので、なるべくガイドの案内によって入林するようお願いをしています。)アカマツやカラマツなど森を形作っている木の種類によって少しずつ景観が変わっていくことに気づかれるのではないでしょうか。道は何度か曲がり、視界が開けたハリモミの植林地にでる。いったんハリモミが判別できるようになれば、森の中に自然のハリモミがたくさんあることに気づくでしょう。とくに冬場はハリモミなどの常緑樹がよく目立ちます。ガイドと一緒ならば、寄り道してちょっと意外な所へ連れて行ってもらえるかもしれません。どこへ行くかは現地でのお楽しみ。さて、また戻って元の道を先へ進むことにします。小さいハリモミ、大きいハリモミ。江戸時代からそこにあったと思われるハリモミの大木はあなたに何を語りかけるでしょうか。見上げる森の景色の一方で、足元の変化には気づいたでしょうか。いつの間にか道の凹凸が大きくなり、なんとなく歩きにくくなってきます。この歩きにくさはなんでしょう? 足元の岩のゴツゴツの正体は実は富士山の溶岩なのです。道は溶岩の流れを遡るように富士山へと向かっていきます。
 視界が大きく開け、このコースの終点です。富士山と再会。ほんの少しの別れだったにもかかわらず嬉しさがこみ上げてきます。遠方から訪れた方々をご案内する場合、富士山を見せてあげたいといつも強く思います。帰るまで見られないと本当に申し訳ない気持ちになってしまいます。皆さんの大好きな富士山の景色は何を語りかけてきますか? 富士山への人それぞれの思いをぜひうかがってみたいものです。

NPO法人富士山ネイチャークラブ
難波清芽

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